湿地建設

2020-11-24    JL.gov

吉林省の湿地資源は非常に豊富で、計172.8万ヘクタールの湿地があり、全省面積の9.2%を占めている。そのうち天然湿地は102.5万ヘクタールで、全省湿地の59.3%を占める。現在、全省には国家級の湿地が8か所あり、向海国家重要湿地、莫莫格国家重要湿地、松花江三湖国家重要湿地、査乾湖国家重要湿地、大布蘇国家重要湿地、月湖湖国家重要湿地、龍沼国家重要湿地と長白山溶岩台地沼区国家重要湿地となる。その中の向海、莫莫格湿地は1992年と2013年に国際重要湿地と認定された。我が省の湿地の主な特徴は、種類が多く、分布が広く、地域差が著しく、生物多様性が豊かであることだ。全部で4種類16類型があり、そのうち、河川湿地は3類型、湖湿地は3類型、沼湿地は6類型、人工湿地は4類型がある。東部は主に長白山林区の森林沼湿地と泥炭沼湿地で、中部は主に河川湖を主とする湖湿地で、西部は主に松花江、嫩江流域を中心とする内陸河川と平野沼湿地である。湿地野生動物30目59科297種や、湿地高等植物112科253属613種があり、そのうち絶滅危機に瀕している重点保護種70種がある。
 
ここ数年来、省委員会、省政府と国家林業局の指導の下、各級人民政府及び関係部署の努力と社会各界の支援により、吉林省の湿地保護管理は著しい効果と良好な状態が現れた。特に法規制度の建設、保護管理体系の建設及び湿地保護と回復などの面で大きな突破を実現し、より良い成績を収めた。
 
(一)湿地保護の法規制度体系は整備されている。第一に、「吉林省湿地保護条例」が2011年3月1日から正式に施行されることは、湿地保護管理体制の健全化や保護活動の強化には非常に重要な意義がある。第二に、「一区一法」を積極的に推進すること。「吉林長白山自然保護区管理条例」、「吉林省松花江三湖自然保護区管理条例」、「吉林向海国家級自然保護区管理条例」が相次いで公布実施された。第三に、「吉林省では陸生野生動物狩猟を禁止する決定」と「吉林省の重点陸生野生動物による人身財産の損害補償の方法」を公布・実施した。最初の10年間の禁猟を達成した上で、省人民代表大会は禁猟期間を不定期延長することを決めた。特に年初以来、林業庁は重要湿地の生態効果補償システムと生態水分補給の長期効果システムの建設を重点として、省政府の十分な肯定と支持を得た。王儒林省長(当時)は人代会の政府活動報告書と環境保護大会で全省でこの二つの重要なシステムを実行することを明確に打ち出した。これは湿地保護活動の発展を加速するために重要な促進と推進の役割を果たした。
 
(二)吉林省初の湿地保護10ヶ年計画を作成した。2012年4月23日に省政府第3回常務会議では正式に「吉林省湿地保護計画」を承認した。これはわが省の湿地保護事業の発展史上で一つの大きな影響を持つ出来事だ。全面的系統的な指導文書として、わが省の湿地保護事業が規範かつ整然としていて、速い発展を大いに推進する。
 
(三)強力な措置を講じ、湿地保護と回復を積極的に展開する。西部地域の干ばつと少雨による湿地の周期的な渇水が深刻な状況に対し、省林業庁は省政府及び関連部門と積極的に調整し、資金を調達して「引霍入向」、「引嫩入莫」、「引洮入向」などの「河湖接続」重点引水工事によって、累計で向海、莫莫格などの重要湿地に約6億立方メートルの水を注入し、4万ヘクタール近くの湿地を回復させた。特に2004年と2011年に二回にわたって200キロ以外のチャルセンダムから向海に応急のために1.1億立方メートルの水を引いて、2万ヘクタール以上の湿地を回復させた。2013年は降雨量が多く、川の上流からの水が多く、西部全域の湿地では水カバー面積は15.8万ヘクタール増加し、向海と莫莫格保護区の湿地面積は3.7万ヘクタール増えて、史上最高の水準に達した。湿地機能は有効に回復し、西部の生態環境は明らかに改善され、野生動植物の数は明らかに増えた。莫莫格保護区を例にして、鳥類は区設立当時より100種類増えて、50%近く伸びている。白鶴の移動時に休憩する数は2000年の500余りから現在の3000余りまで増加し、世界の95%以上を占めて、創造的に世界最大の5つ星の白鶴休憩地を作り上げた。白鶴は莫莫格での休憩時間と群れの数は世界で一番多く、中国の国際的な絶滅危惧種保護における重要な地位を高め、国際組織の注目を集めている。
 
また湿地回復共建活動が行われた。莫莫格保護区と吉林油田は共同で石油採取区湿地植生回復の総合的な治理プロジェクトを実施し、これまでに3160万元を投資し、162万平方メートルの湿地植生を回復し、保護と利用の矛盾を適切に解決し、省政府の指導者から十分に認められた。水稲田尾水処理モデルプロジェクトが展開された。莫莫格保護区は積極的にドイツの技術を導入して、思い切って水稲の尾水資源を利用することを試みて、よい進展を得た。松花湖湿地保護区と浄月湿地公園生態移民モデルプロジェクトを展開した。総投資額は14億元近くで、住民5100人を転出させた。国の湿地補助金支援のもと、向海、ハニー湿地保護と生態建設プロジェクトをスタートさせ、良い効果を得た。これらのプロジェクトの実施は重要湿地の保護と回復に重要な役割を果たした。
 
(四)湿地保護管理体系の整備を強化した。一つは保護管理の組織指導を強化したこと。省政府は「湿地保護管理の強化に関する通知」を発布し、主管の副省長を長官として、発展改革や財政、環境保護、国土、林業、水利など12の部署をメンバーとする「吉林省湿地保護調整指導チーム」を設立し、2005年に全国に先駆けて「吉林省湿地保護管理弁公室」を設けた。また、「吉林省湿地保護条例」に基づき、2011年8月に吉林省湿地専門家委員会を設立し、省内の研究所、大学からトップクラスの湿地専門家を専門家委員会に招いて、中国科学院東北地理所の劉興土院士が主任を務めた。全省の湿地保護に科学技術面のサポートを提供した。第二に、重点湿地分布区の保護体系の整備を強化した。重点湿地分布区において、湿地自然保護区と湿地公園を積極的に建設し、専門の保護機構を設立する。現在、全省はすでに26の湿地保護区(国家級は12、省級は10、保護団地は4)と34の湿地公園(国家級は21、省級は13)を建設した。全省の47%の天然湿地を有効に保護した。
 
(五)湿地資源の調査試行を全面的に完成した。国家林業局の要求に従って、チームを作って実施案を制定し、時間どおりに湿地資源の調査任務を完成して、我が省の湿地資源の数と現状を点検して、湿地保護管理を強化するために基礎を打ち立てた。
 
(六)保護を優先して、湿地資源を合理的に利用する。湿地は重要な自然生態系であり、経済社会発展の重要な資源でもある。数年来、積極的に保護し合理的に利用する原則を受けて、資源の優位性に頼って、湿地生態旅行や湿地養殖、栽培、ミネラルウォーター開発などを展開して、生態、経済と社会の面で良い効果を得た。長白山、竜湾、三湖、向海、莫莫格、査乾湖を中心とした湿地生態観光開発は深く、広く進められ、年間生産額は45.5億元に達し、すでに我が省の経済社会発展の柱産業となっている。林カエルの特色養殖加工はすでに規模になって、林カエル油は貴重な栄養補助品になって、世間の人の愛顧を受ける見込みだ。「泉陽泉」に代表される良質なミネラルウオーターは年間30万トン生産される。魚やカニをはじめとする水産業はますます発展し、年間17万トンの規模に達した。哈達山、引嫩入白など重大な水利工事の展開につれて、葦田の面積は徐々に拡大して、3年以内に新しく10万ヘクタールを作る予定だ。湿地農業循環経済の発展モデルに関する研究はすでに大きな突破を得ており、湿地経済発展の新たな道を導くことになる。湿地観鳥、漁猟文化、高山花卉鑑賞など一連の祭りを形成しており、湿地文化の伝承と発揚だけでなく、地域経済の協調的発展を促進している。
 
(七)湿地の宣伝と国際交流協力を幅広く展開した。ラジオ、テレビ、新聞、政府ウェブサイトなどのメディアプラットフォームを十分に利用して、湿地保護の特集番組を制作し、指導者と専門家による湿地保護基礎知識シンポジウムを行い、関連法規政策を解読するなどの形で、湿地保護の重要な意義を大いに宣伝し、「世界湿地日」、「愛鳥週間」、「湿地キャラクター行動」、「野生動物保護宣伝月」などをきっかけに、多種多様な湿地保護宣伝教育活動を展開し、民衆の湿地保護意識を大いに高めた。また、各種の研修活動を展開し、効果的にわが省の湿地保護管理者の業務レベルと管理水準を向上させた。さらに、積極的に条件を作って国際保護機構と協力交流を展開し、湿地国際(WI)、世界自然基金会(WWF)、国際鶴類基金会(ICF)、世界環境基金(GEF)などの組織と相次いで、向海、莫莫格湿地に白鶴生息地、保護区水資源管理などのプロジェクト研究を展開し、顕著な成果を上げた。